「そういやあ、お前学校は?」
「行ってないけど」
「なんだよ、中退のままかよ」
「チュウタイ……?って、なに?」
「は?お前、そんなのも知らねえの?」
「まだまだ日本語で不自由なところがあるんですー!」
面倒くさそうに綾が頭をかいた。
「あのなあ、…中退ってのは」
「中途退学の略だ」
私との言い合いにけりをつけたのは、間違えなく。
「仁、いたのか」
「さっき帰ってきたところだ。和佳菜、分かったか?」
何故か頭を撫でる仁にコクリと頷いたはものの。
「分かったけど…そういえば仁も綾も学校は?」
今は月曜日の午後1時。
健全な高校生なら学校に行っている筈だ。
「俺は若宮(わかのみや)に戻ってから1度も行ってねえや。…もしかしたらまだみんな知らねえかも」
「戻ってからどれくらい?」
「和佳菜がイギリス行ってから割とすぐだったから……1年?」
「え?なに?あんた絶対留年しているでしょ!」
「だからなんだよ。ああ、そうだけど!留年してるけど?」
「なんで逆にあたしが怒られるの」
「怒ってねえし!」
「怒っている!」
「落ち着け2人とも」
仁になだめられて終わったけど、綾とこんな感じで言い合いすることってそうなかった気がする。
最初のころはロボットちゃんとか言われていたなあ。
思い出すと懐かしさが急に押し寄せてくる。