『ニュース速報です。アメリカの警察官高官のジョウ・コジマ容疑者が職務執行法違反で、逮捕されました。3年前の証拠品偽造に関わり、賄賂を受け取ったとされています』
ふふふ、あー面白い。
「このジョウさんって、お祖父様のお友達だったよね?」
賄賂を送った側にも当然の仕打ちが来るものだ。
お祖父様といえば、目を真っ赤にしてこちらを睨んでいる。
「お前っ…」
「マスコミさんとお友達になってね、証拠とか提出したの。外から圧力かけた方が、上手く行くことだってあるでしょう?」
日本だと、ミズシマの名前は大きいから打ち消されてしまう可能性があった。
だから、あえてアメリカのメディアに。
アメリカの警察なんか信用していないから、警察に届けるなんて立派なことをあたしはしない。
それでも力が大きすぎると、握りつぶされてしまう。
あたしは運がいいのか、潰されずに済んだ。
ジョウさんは周りからあまり好かれる人じゃなかったみたい。
「守ってくれる人がいないのって残念ね」
お祖父様、あたしは貴方が嫌いよ。
正義を執行することが必ずしも正しいとも思わない。
「和佳菜っ!待て!」
だけど、社長さんにも許可取ってきたの。
嫌いだけど、大切な祖父だから更生してほしいって旨を伝えたら了承していただけた。
「会社に与える損害は小さくするってお約束いただいたの、社長さんから」
「…和佳菜、お願いだ」
お祖父様はただのご意見番。
必要とも捉えられなかったお祖父様は少しかわいそうだ。
「あのね、お祖父様が見せられた写真、もう分かっていると思うけど、偽造された物よ。その人達も逮捕される予定よ」
この数年で地道に集めていたネタは全て売った。
全ては我が身のため。
自分の身は自分で護る。
自分が1番の味方でいてくれることを決して忘れてはいけないわ。
「行きましょう、仁」
「失礼します」
あたしの未来はあたしが決める。