あたしたちも馬鹿ではない。
だから計画を練ってきたのだ。
「あたしは6日前まで貴方とディビッドが繋がっているのを知らなかったの。知った時にはもう時間がなかった。だから…あたし達は、戦い方を急遽変えた」
たった6日である計画を立てた。
「ディビッドが全ての黒幕だったら、彼にダメージを与えればそれでことは終わる。でも、貴方がいるのなら話が変わる」
それは何故か。
「まずは貴方達の目的を考えてみましょうか。ディビッドの目的はあたしを殺すことでしょう。それは間違いない。…でも、貴方の目的はそうじゃない」
あたしに手を出そうとしたのだって、結婚の約束をさせたのだって、それはあたしが欲しいからではないのだ。
「…貴方の目的は、仁に勝つこと。仁から大切なものを奪うことにあった」
全ては、3年前の抗争から始まる。
仁がニヤリと笑って口を開いた。
「お前らは敵の総長を打った。でも、抗争には負けた」
本来はそうではない。
総長の首を取った時点で勝ちなのだ。
だけど、これだけは話が違う。
「それは俺らがその後、敵をほぼ壊滅状態にさせたから」
先代の総長が撃たれたあと、ほぼ壊滅状態にするなんて、あたしが裏の世界にいた頃でも聞いたことがない。
「先代は、これを機に仁に地位とか全部譲り渡すつもりだったんだよ。先代と手合わせしても、仁は勝ってた」
翔が胸を張って得意げに笑った。