それから蔑んだ目であたしを見て、鼻で笑った。
「お前はどうせ、自分の為に作ってもらったとか考えてそうだけど残念ながら違うね。自分のお部屋でも寛ぐことさえ許されなかったマーク様が少しでも心にゆとり与えられたらと思って僕が提案したんだ」
正直、マークがそう言っていたのもあって、あたしの為になんて考えていた。
自惚れるって結構恥ずかしいのね。
だけど、まさか提案者が彼だとは。
「だからよく来てた。僕が作ったお城だ。マーク様にもお前との時間さえ邪魔しなければ入っていいって言われてた」
あたしとの時間、か。
多分その言葉は。
「僕にとっては地獄みたいな言葉だったけどね」
好きな人から言われる言葉ほど悲しいものはない。
「マーク様に嫌われたくはないから、邪魔はしなかった。だけど、しない代わりに入り浸るようになった。…けど、あの庭師がやたらと目が鋭い。自由に出入りが出来なくなった。余計なやつが来たと思ったよ」
「お前にとっては俺は庭師なんだな」
呆れたのか、なんなのか。
佐々木さんが口を挟むことをしたら、ずっと彼は目を細めた。
「僕には兄なんかいないんだ。母親と一緒に殺したよ。…だからあんたはきっと人違いだよ。もう、土に還ってるはずだもん」
「嘘、貴方が殺したのはひとりよ」
「ひとりじゃない」
「へ?」
「もっと殺した。数も相手も、わかんなくなるくらい殺した。…ここの総長君の母親を殺したのも僕だよ」



