「それはっ…」
「貴方がどうしてこんなに焦っているのか、あたしは知っているのよ」
それは今、バレてはいけないものだから。
「お前っ…!」
この会話が今、外に漏れてはいけないものだからなのだ。
というのは、そう。
「貴方がマークを殺す証拠となった、最後の会話も記録されているの」
マークも別に頭が悪いわけではない。
目の前のこの人…デイビッドが賢すぎただけなのだ。
「…やめろっ!」
「聴きたい?」
「やめてくれっ…!」
「なんで?…貴方には、これくらいが1番いいわ」
彼の思考を崩すにはこの方法しかない。
弱みを握っていることを先に提示しなければ勝てない。
…分かってる。
これが正攻法では無いことを。
これが、正しい選択では無いことを。
でも、あたしの目的は。
…ごめんね。
この人に償わせることだから。
「…お願いだ、やめてくれ」
「じゃあ、これからの質問には正直に答えてくれる?」
さあ、罪を。
認めて。
「…僕はずっと、正直に答えてるよ」
「あらあ、嘘つきもほどほどにしたら?…貴方はひとつだけ、あたしに嘘をついたでしょう?」
「……え」
「なんでわかった?って顔してる。本当に貴方は危機の時に顔にでるのね」
普段は能面みたいな顔をしているのに。
よく表情が変わることだ。
まさか、こんなところであたしの賭けが当たるなんて、本当に驚きしかないわ。
「…貴方はあたしのことなんか好きじゃない」
「…っ、え」
「寧ろ嫌い」
「…」
「貴方が本当に手に入れたかったのは、…マークでしょう」



