「でも、ディビッドがあたしを好意的に思っていたような感じはしなかったわ」


「お前のそれはあてになんないの」


「でも、本当に。そう言った姿は見受けられなかったの」


「…ふぅん。ま、そこまで言うならさ。…あとは誰か居そう?」


「ほかに怖かった人?……そうねえ、あとは、ルカ・シェード…かな」


「ルカ・シェード?」


「イギリスの大富豪だ。彼もマリファナを?」


昌さんの説明に頷く。


「そう、高額で売り捌くのが楽しいようだったわ。取り引きには現れたことはないけど、結構有名よ。彼の怒りに触れたら、すぐに死刑だった。生か死か、彼にはどちらかしか無いと、聞いたことがあるわ」


その時、琢磨が思い切り顔を上げた。


「ルカ・シェード…?…和佳菜、お前にUSB渡したよな?お前、それ開いたか?」


「ええ。あの幼少期の写真なんて恥ずかしいもの送らないでよ」


「ばっか!んなわけねえだろ?」


「…え?」


「そのデータどこにある?」


「悠人のノートパソコンに入れてもらって」


「貸せ!」


悠人からパソコンをぶんどると、キーボードをカタカタを動かし始めた。


「…俺は、ずっとルカについて調べてた。あいつが、和佳菜のこと愛してるって言ってたのを知ってたから…」


彼が最後にエンターキーを押した時、映し出されていたのは。


「…これって」


ルカの人生のそのものだった。


「ルカの人生のことは大体調べ上げた。…母親がフランス人だから、ルカもフランス語は得意だ。でもそれだけを証拠にするのはまずいから、ほかに何かないかって探してたんだ」


「和佳菜、ルカに会ったことは?」


「…ないわ。取り引きに現れたことはないから。あ、…でも。電報を貰ったことはある」


「電報?」


「ルカの部下がこっそりくれたの。マークには内緒で、と」


「どんな内容だった?」


「そんなの、覚えてないわよ。もう三年は前の話よ。強いて言うなら、…愛してるとか、そんな言葉があったような、無いような」


「そこが大事なんだって!」


「そう熱くなるなって。お前が調べてたのはわかったから。ひとまず、ルカが犯人候補って感じだね。俺らはその線で準備したいんだけど。…ま、ひとまずは帰るか」


「は?ここまできて?」


「こちらさんにも色々と事情ありそうだし」


そう昌さんがこちらに目を向けた時、あたしは大体を理解した。


さすが昌さん。



貴方には敵わないわ。