「俺らはね、和佳菜がこっちに戻ってから色々あったの大体知ってる。千歳のバーに千夏ちゃんが見えてからは、大体」


「え?千歳にいちゃんのバーに千夏ちゃん来たの?」


「…んまあ、ちょっとした知り合いなんよ。千夏が仁に固執してたから、気になって昌に連絡入れたんだ」


「でもその時、和佳菜はマークに連れ去られたくらいの時だっただから、正直手が回らなくて。和佳菜が見つかってからも特に何もアクション起こさなかったから忘れてたんだ。…んで、あれだよ」


「千夏ちゃんのことはもう解決したわ。でも、どうして…千夏ちゃんが」


「和佳菜は分かってるだろ」


琢磨のいいようにぐっ、と詰まる。


わかる。分かっているけれど、一つ、分からないことがある。


「どうして、千夏ちゃんが白い仮面をした男を知っているって、昌さん達わかっているの?」


これには獅獣の面子がざわりと揺れた。


「千夏が白い仮面をした男を知ってる?和佳菜、それ」


「千夏ちゃんから聞いたの。探しているって、その人を」


遮るように、仁にそう答えた。


「ねえ、教えて?昌さんはさっき協力して欲しいって言ったわ。こちらの状況は把握しているんでしょう?そっちばかり何もかも知ってるのは、ずるい」


じっと目を見つめると、僅かに昌さんの目が揺れた。


「ほら、言ったろ。和佳菜に誤魔化しは効かないって」


「…琢磨」


「昌が和佳菜を危険な目に遭わせたくないのは、俺もよーく知ってるけど、それは無理だ。この自由奔放なお姫様に俺らはどれだけ振り回された?必要かそうじゃないかはこいつらが判断することだ」


「琢磨、それって」




「なあ、和佳菜。白い仮面をした悪魔の狙いはお前だよ」