「ん?怒る要素あった?」


「だって…蓮は」


「いや、どう考えても和佳菜が殺してないでしょ」


翔の言葉に、みんなうんうんと頷いている。


「和佳菜は蓮さんに守ってもらったんじゃん。その命、大事にしなきゃだめだよ。そのご夫婦にもそう言われたんじゃない?」


たしかにそう言われた。


あなたは殺してない。


それは蓮が守った命だと。



だけどあなたがそれを悔いたいと思うなら。



悔いいることで今を生きなさい。



今はね。いくらでも変えることができるのよ。



車の中で仁に蓮の話を聞いてもらったあと、彼の第一声はこうだった。


『大丈夫だよ、和佳菜。あいつらは絶対にお前を責めない』


仁の言った通りだったね。


流石だ。



深く頷くと、ほらな、とみんなが笑った。



「…あの、ずっと聞きたかったことがあるんすけど」


おずおずと言葉にしたのは、いつも発言しない悠人。


「何?」


「どうして蓮さんの話をしたんですか?だって、今俺らが探してんのって、白い仮面をした悪魔、だし」


「それは…」


「そのどーたらこーたらの悪魔と蓮が繋がってるからだろっ?昌、話してやれよ。お前もこいつらと情報共有したいんだろ?」


「んー、琢磨は変わらずに強引だねえ。ま、話が早くて助かるんだけどさ」


「……昌さん」


じっとあたしが目を見つめると、昌さんは照れ臭そうに笑いながら、言った。


「分かってるよ。和佳菜がちゃんと話してくれて、分かったこともあるし。それを踏まえて、俺らがやってたことを話すよ」