そこに通路という概念は存在しなかった。
全部、真っ赤に燃えていて。
あたし達2人は呆然とした。
よく考えれば、非常階段をすぐに探さなければいけなかったと思う。
でも、出来なかった。
2人でドアをこじ開けた時にはもうあたしの体力は限界に等しかったから。
熱い、暑い、空気が薄い、息が、…出来ない。
目の前の彼が一生懸命叫んでいる。
眠りそうになった時、彼じゃない声が聞こえた。
《…やっと、会えたわ》
女の声だった。
息絶え絶え、もうあたしは死ぬことを選びそうだった。
だけど、そちらを向いた。
まだ、行きたいと望んだから。
助けがきたと、思ったから。
だけど、そこにいたのは、男女の警官だった。
その目で分かった。
この人たちはあたし達を狙っていると。
この人たちは、…敵だ。



