三階へと続く螺旋階段。
最上階の三階には、幹部室や、幹部それぞれの部屋がある。
カタンカタンと鉄筋で作られた階段は音をたてるが、それさえも懐かしい。
あたしはここにいていいのか、未だに迷うけれども、最悪綾に責任を押し付けよう。
彼に呼ばれたのは間違えないし、あたしは抵抗した。
それで十分だろう。
「入れよ」
目の前には幹部室。
だけど、そのドアノブに触れることも、ましてやそれを回すことさえもあたしはできないでいる。
「綾、開けて」
「それくらい自分で開けろよ」
「ごめんなさい。多分ここでドアノブに触れると、あたし失神する気がするわ」
「何でだよ」
彼は笑ってそのドアノブを引いてくれたけれど、あたしは不安でいっぱいだった。
あたしはここのみんなを怒らせて、悲しませた。
戻ると勢いで約束してしまった自分に腹が立つ。
そんな資格も、気持ちも。
持ってはいけなかったのに。



