蒼の花と荒れる野獣Ⅱ






翌日。


時間がないあたしには話さなければいけないことがあった。


「どーしたの。みんな集めて、なんて言い出して。それも昼飯食べねえし」


綾がキョトンとしたままあたしを見た。


「昨日のお昼のことはごめんなさい。気持ちを整理したくて」


「なになに?なんかあったの?」


翔もこちらを見つめるけど、あたしは僅かに微笑んだ。


それからきゅっ、と口角を下げた。


「それもあるのだけど、順を追って説明したいの。まず、あたしの過去のことから言わないとわからないと思うから。みんなにちゃんと話して無かったなと思って」


「過去?…和佳菜の人生全部ってこと?」


「私の人生全部話したら日が暮れてしまうから、掻い摘んで、簡単に」


「それはありがたいけど」


つまらなそうにそっぽを向いた悠人に。


みんなに、あたしは聞いた。



「…みんなは、長瀬 蓮を知っている?」


「勿論!俺らの大先輩だぜ?」


すぐに反応したのは翔。


「そうね。知らない人なんていないわね」


「え、でもなんで和佳菜が知ってんの?」


翔も綾も戸惑ったようにこちらを見た。


言わずもがな、悠人も。


「…蓮は、あたしのSP、護衛よ。そして」


もう戻れない。


みんながあたしを罵るかもしれない。



それでも、何を賭けても絶対に。




貴方の反応を知りたかったの。