「なんだ、惚れなおしたか?」
「ずっと変わらずに愛してるわよ」
「…てめえ」
「ちょっと、低い声出さないで!もうっ」
それでも頬がほんのり赤くなっているのは、キチンと気が付いているのよ。
言ったら怒られそうだから、言わないけれど。
「だけど、ひとつだけ例外があるな」
その格好いい瞳がこちらを向いた。
「なに?」
「お前が、和佳菜が傷付けられたら多分気が収まらなくなる」
二重瞼の中に光る、野獣様の目は。
金色に輝いているようだった。
「あたしは平気よ。強いんだから」
「そう言って危なっかしいところがあるから」
「…自覚しております」
「反省しなさい」
「……えーでも」
「和佳菜」
仁の目がとても真っ直ぐだったから、思わず見つめた。
「無理はしないこと、焦らないこと。お願いだからお前だけはいなくならないでくれ」
苦しそうに抱きしめるから、あたしも切なくなるんだ。
「…大丈夫だよ。あたしはいなくならないから」
ぎゅうと抱きしめるとなんだかとても落ち着いた。
だからあたしは。
この人に嫌われても。
あたしだけはずっと好きでいようと思えたんだ。
あたしからは離さない。
だけど、仁が離れたいと望んだら、その時は。
覚悟を決めよう。
「ねえ、仁。蓮のことを。話してもいい?」
あたしの永遠の王子様の話を。



