蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「なんだ、惚れなおしたか?」


「ずっと変わらずに愛してるわよ」


「…てめえ」


「ちょっと、低い声出さないで!もうっ」


それでも頬がほんのり赤くなっているのは、キチンと気が付いているのよ。


言ったら怒られそうだから、言わないけれど。


「だけど、ひとつだけ例外があるな」


その格好いい瞳がこちらを向いた。


「なに?」


「お前が、和佳菜が傷付けられたら多分気が収まらなくなる」


二重瞼の中に光る、野獣様の目は。


金色に輝いているようだった。


「あたしは平気よ。強いんだから」


「そう言って危なっかしいところがあるから」


「…自覚しております」


「反省しなさい」


「……えーでも」


「和佳菜」


仁の目がとても真っ直ぐだったから、思わず見つめた。



「無理はしないこと、焦らないこと。お願いだからお前だけはいなくならないでくれ」


苦しそうに抱きしめるから、あたしも切なくなるんだ。


「…大丈夫だよ。あたしはいなくならないから」


ぎゅうと抱きしめるとなんだかとても落ち着いた。





だからあたしは。



この人に嫌われても。




あたしだけはずっと好きでいようと思えたんだ。



あたしからは離さない。


だけど、仁が離れたいと望んだら、その時は。



覚悟を決めよう。







「ねえ、仁。蓮のことを。話してもいい?」



あたしの永遠の王子様の話を。