「…じん!仁!」


慌てて階段を駆け上がる。


ひとりでいるのが急に怖くなった。


どうして?なんで?


あそこに入れるのは、あたしと。


獅獣幹部だけなのよ。


なのに、どうして。




3階まで一気に上がったら、少し息が上がってしまった。


多分、それは一気に上がったからとか、そんな理由ではなくて。


「…じん!」


バンとドアを開けたら、2人と目が合った。


「どうした、わか…」


だけどあたしが抱きつくから、彼は固まって動かなくなった。


「どうしよう」


怖いの。


ねえ、怖くて仕方がないの。


「…和佳菜?」


あたしは正解まで辿り着いてしまう。


あと、もう少し。


見たくない現実を見てしまう。


「仁、どうしよう」


答えはひとつなんだ。


だからこそ。


こんな残酷な答え、知りたくなかった。




「…綾が、裏切ってるのかもしれない」