「仁!こんなことでへこたれちゃダメだよ。荷物持ちは頑張って」
「誰が荷物持ちだよ。ったく、心配してついてきたってのに」
そういった仁の両手には、沢山のショッパー袋が掛かっている。
運転手さんの菅谷(すがや)さんも相変わらずご健在だが、彼は車の中で待機してくれている。
寄り道をするつもりだと菅谷さんに伝えていた彼女の話を小耳に挟んだのか、本当はあたしと彼女以外に後部座席に乗る人はいなかったのに、いきなり乗り出した。
「はい、和佳菜ちゃんの元の洋服。まだまだどんどん買うから荷物持ちさん頑張ってね」
彼女の楽しそうな顔に、仁もあたしも揃って、大きなため息をついたのだった。



