最後の言葉が打たれたのは、この倉庫に襲撃が入った日の朝方。
5時28分。
「…これは」
「どう考えても、狙われてるだろ」
ええ、間違えないわね。
でも、何にしてもわからないことだらけだ。
白い仮面をした悪魔と、接点はほとんどない。
最初に白い仮面をした悪魔の話を聞いたのは、千夏ちゃんから。
マーク関係で探してほしいと頼まれたとのこと。
だけど直接接点はなくて。
でもさっき…。
『仁の母さん殺したやつだよ。…そいつが、』
綾はそう言っていた。
どうしてそう断言できたのだろう。
あやみさんからは仁のお母様を殺したのは、マークだと言っていた。
だけど、白い仮面をした悪魔がイコールマークにはならない。
だって、彼は死んでいる。
間違えようのない事実だ。
あたしこの目ではっきりと彼がしんでいるのも見たし。
ご家族の傷がとても深いことを知っている。
あれは演技じゃない。
あの家族と深く関わってきたんだ。
それくらいわかる。
ならば、答えは…。
「ねえ、っ綾」
「ん?」
たまらずに名を呼んだ。
振り返る彼を。
信じたい。
信じていたい。
まさか。
『てめえらの中に“裏切りもん”がおるからやよ』
嘘だと思っていた青山葏忢のあの言葉が本当なら。
「…なんでも、ない」
「はあ?あるからそう言うんだろ。言えよ」
「…綾、あのね」
「だからなに?」
「…目玉焼きにかけるのは、醤油派?それともソース派?」
「はああああ?」
ぷっ、と仁が吹き出した。
「え?この真剣な場でなに言い出すと思ったらそんなこと?」
「大事なことじゃない?あたしずっと考えていたの。ソースは合わないだろうって」
「いや、俺、ソース派なんだけど。なに言ってんの」
仁が隣でクスクス笑いながら
「どっちでもいーだろ」
って言うけれど。
「よくないの!」
と叫んだら、翔まで笑いだした。



