蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「和佳菜…フランス語もできんの?」


あり得ない、という顔をして、綾がこちらを見た。


「ええ、話せるわ」


「はあ?フランス、いったことあんの?」


「あるわ。…あまり教室にいたくなくて、色んな国に留学していたの。日本にも半年ほどいたわよ?」


そういうが、翔は慌てたように首を振る。


「…いや、半年でこんなに喋れるようにならないって」


「琢磨やママがいたおかげかもしれないわ。留学じゃなくても、たまに帰国していたし。って、そうじゃなくて。まあ、とにかくフランスにも行ったことがあるの」


フランスや日本以外にも、ドイツやスイス…色々なところに留学という名目の元、行っていた気がする。


もう忘れた言語もあるけれど、フランス語なら多分まだ大丈夫。


「…んまあ、和佳菜みたいにすぐ分かる訳じゃないから、俺らは機械使って、翻訳したわけ。そしたら、ね?白い仮面をした悪魔って出るだろ」


「でもその人がどうして、南と」


「知らね。でも、見てみろよ、これ」


1番上の持ち主側の一言。


「『…もう、これで終わりですか?』って、どういうこと?」


そのあとには、続けて。



“お前には、十分役目を果たしてもらった”


『そんな!それじゃ、アヤカさんとの約束と違うじゃないですか!』



「アヤカって、誰かわかる?」


周りを見渡して首を振るばかり。


「さあ…女か?でも、南に特定の女の影なんてないはずだけど…」


「これより前の会話のデータは?」


「それまでは綺麗に消されてた。復元にはもうちょっと時間かかる」


「復元できるのね」


「これくらい簡単だけど」


「うん、ありがとう。だけど、この人と南に何の関係が…」


「これの最後、見て。“どうしても納得できないなら、この場所で会おう。”下には位置情報が貼られてる」


「この位置情報って…」



「そう、…ここだ」




間違えなく、この倉庫だった。