「武器?」
「悠人に情報収集を頼んだら誰にも負けないわ。敵を討つには、敵を知らないとね」
「…和佳菜?」
「綾はお節介界ではNo. 1だから、戦い方を徹底的に学んできなさい。翔のためならなんだってしてくれるに違いない」
「え、え?」
「仁には敵と向き合うための時間をもらいなさい。仁なら必ず向き合わせてくれるわ」
ね?と仁に微笑むと。
「あったりめえだろ」
仁も笑ってくれた。
「…え、と。え…?和佳菜」
「煮詰まったら、下っ端くん達と遊んでストレス解消しなさい。翔にゲーム勝てなくて悔しがってる子、たくさん居たから」
「…??」
「そして、あたしは」
ねえ、翔。
「どんな時でもずっと心のサポートしてあげる」
独りじゃないのよ。
みんながついているの。
「だから、ちゃんと向き合ってきなさい」
あたし達はいつだって貴方の味方だ。
「和佳菜…」
また、ひとつ。
翔の目から涙がこぼれ落ちた。
「…おれ、向き合ってくるよ。にげないで、やってくる」
「うん」
「かならずかつから。どんなかたちでも、おれのこころがすっきりできるようにしてくる」
「うん」
「みんなにしんぱいさせちゃってたから、あやまらないと」
「うん」
「…ありがとう、和佳菜」
彼の笑顔は溶けてしまいそうなくらい可愛らしくて。
「いいえ」
あたしも負けじと、柔らかく返したら。
ふふふ、と笑ってくれた。
「ごめん、ちょっと眠くなってきちゃった」
「ああ、ごめんね。また寝ていなさい」
「うん、起きたら連絡するね」
そうやって静かに眠りに入った。
穏やかなその寝顔を見届けてから。
あたし達はそっと部屋から出た。