倉庫前に到着し、仁とふたり車を降りた。
「ありがとうございました」
「いいえ。これからも何かと迷惑かけると思いますが、仁さんをよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「菅谷!…後で覚えてろよ」
「はい」
仁の睨みなんか効きもしないようで、ニコニコと笑っている。
若頭様がこんな感じで大丈夫かなんて思う人もいるでしょうけど、問題ないわ。
彼の本気はこんなものではない。
それこそ、あたしまでも脚がすくんでしまうくらい。
彼の本気を舐めてはいけない。
無論、舐めたことなどないのだけど。
「じゃあ、また連絡する」
仁はそう言ってドアを閉めた。
そしてあたし達は。
「…変な匂いがするね」
その異変に、漸く気がつくのだ。