「…とーまも行っちゃったことだし。なにする?和佳菜ちゃん」
当麻さんがその後、急いでこのマンションを出て行って。
あっという間に2人きりだ。
コテンと頭を傾けて笑う彼女は間違えなく女神のような風貌。
「お話、聞きたいです」
「話?なんだろう、ためになるような話はできる気がしないんだけど」
冗談らしくそう言いながら、彼女はふふと笑う。
「どうやったら、純夏さんみたいな人になれるかっていう、そんな話を聞いてみたいです」
彼女は小首を傾げたまま目を丸くして。
それから。
「ほんと。褒め上手だよね。聞いてた通りって感じだよ」
照れ臭そうに笑った。
「…あたしのこと、どんな風に聞いていたんですか?」
「和佳菜ちゃんはね、ちょー美人で、かっこよくて可愛くて、人の話を聞くのが上手なんだって。仁はいつも照れた風に話してくれるの。そんな顔させる人ってどんな人かなって思ってた」
話が盛られすぎていて、思わず笑ってしまった。
美人で格好良くてかわいいって。
色々と間違えている気がする。
「…不満そうだね。でも、純夏もそう思った。本当に綺麗な子。仁と出会った話はふたりの時に聞くことにして、純夏も聴きたいの。和佳菜ちゃんのこと」
「あたしのこと、ですか」
「うん、だって和佳菜ちゃん。マークの恋人でしょ?…積もる話があると思って」
ああこの人は。
結構要注意人物かもしれない。