「じゃあ、決まり!夕飯…の材料はないから、仁買ってきて」
「なんだよ、純夏が買ってくればいいだろ」
「この純夏様に重たい荷物を持たせようと企むなんて、1億年早いのよ!肉じゃがにするつもりだから、材料買ってきてね」
「……ああ、もうわかったよ」
何かの戦い(?)に敗れた仁は、あたしにおいでと、言ったけれど。
「あたしはここで待ってるね」
純夏さんが用意してくれた話の場だと察知したあたしは。
ゆるりと仁の誘いを断った。
「……純夏」
「なあに?和佳菜ちゃん、一緒にお留守番してようね」
「あ、…はい」
「……和佳菜になんかしたらマジで承知しねえからな」
純夏さんはキョトンとしてから。
「あはははははははは!」
笑い始めた。
大笑いもここまできたら清々しい。
「するわけないでしょ!仁の彼女さんだよ?純夏がそんなことするような悪人にみえるの?」
「見えるなァ、間違えなく」
「こら!」
「…ほら、仁!早く行ってきて。早めに行けば、当麻さんもご飯食べられるかもしれないでしょう?」
2人のじゃれ合いって分かってはいるのだけど、どうも気が休まらなくて。
どうにか止めようと、仁に笑いかけた。
「和佳菜」
本当に、変なところで心配性なのだから。
そういうのは綾だけで十分だわ。
「大丈夫。ないと思うけど万が一、何かされたら、仁守ってくれるんでしょう?」
「…そりゃ、もちろん」
不服そうな彼にそう笑いかけて。
なんとか家から見送った。
「俺のことまで気ぃ遣わなくていいのに」
当麻さんは困った風に純夏さんの隣で笑っていた。



