「ただいま」


「おかえり」



たったそれだけなのに、酷く安心感がある。


やっぱり仁ってすごいなあ。


「…悔いないか?」


ほら、今だって。


あたしが無理して離れたのかって聞いてる。


こんなに気がつかえる王子様なんて、あたしは出会ったことがない。


「いいえ、あたしは戻ってきたくて戻ってきたの。2人とも背中を押してくれた」


「よかったな」


仁が安心したように笑うから。


「うん」


あたしもつられて笑顔になった。


「よかったところで悪いんだけど、この後純夏たちに会いにいくから」


「え?」


いきなり?


「和佳菜の不安は早めに無くしといたほうがいいと思って」


「それはありがたいけど。その、純夏さんは大丈夫なの?」


「大丈夫。メールで旦那と2人で会ってくれって言ったら楽しみって返ってきた。もうこれだけでよくわかんねえ」


「…一応了承しているのよね?それ」


「そういうことだと思う」


メールの時点で会話が成り立っていないので、少々心配にはなるが、決定事項は覆せない。


「どこで会うの?」


「あいつんち」


「今から押しかけるの?」


時刻は正午を回ったあたり。


お昼ご飯を邪魔しないかしら?


「ああ、あいつら夜の方が忙しいから」


ああ、そうだった。


純夏さんはそういうお店の店長さんなんだった。


「…あいつらってことは、旦那さんも?」


「そ。副店長」


それでいて仲がいいなんて、羨ましい。