蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「んじゃ、俺はここで待ってるから」


Margaret前の大きな通りの路肩に止めて。


車の中で仁はそう言った。


「え?仁来ないの?」


てっきり来るものかと思ってた。


「こういうのは、関係ない人間がいない方がいいだろ」


そういう気遣いが出来るなんて。


「ありがとう。仁愛してる」


「んな!」


パタン、と無事ドアを閉めて。


何か言いたそうだった仁の話は後でたっぷり聞くとしよう。



「ちゃんとお別れ出来るかしら」


不安しかない。


特に携帯電話を借りていた瑞樹からはなんと言われるか。


だけど、もうマークがバックにいないわけで、あたしは晴れて自由の身である。


「文句は言わせないけど」


寂しさがないわけでもない。


「ありがとう、とごめんねだけは忘れずに言おう」



そう決めて、ドアベルを鳴らして戸を開けた。