「んじゃ、俺はここで待ってるから」
Margaret前の大きな通りの路肩に止めて。
車の中で仁はそう言った。
「え?仁来ないの?」
てっきり来るものかと思ってた。
「こういうのは、関係ない人間がいない方がいいだろ」
そういう気遣いが出来るなんて。
「ありがとう。仁愛してる」
「んな!」
パタン、と無事ドアを閉めて。
何か言いたそうだった仁の話は後でたっぷり聞くとしよう。
「ちゃんとお別れ出来るかしら」
不安しかない。
特に携帯電話を借りていた瑞樹からはなんと言われるか。
だけど、もうマークがバックにいないわけで、あたしは晴れて自由の身である。
「文句は言わせないけど」
寂しさがないわけでもない。
「ありがとう、とごめんねだけは忘れずに言おう」
そう決めて、ドアベルを鳴らして戸を開けた。



