蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「俺もちゃんと聞けてなかったんだけどさ」


「なに?」


「マークとちゃんと話せたか?」


その目から心配する気持ちが見えた。


マークから解放された頃のあたし、おかしかったものね。


うん、その気持ちは分かる。


だけど大丈夫よ。


あの時とは違う。


今のあたしは冷静なの。


「うん、話すことができた。もう大丈夫」


あたしのことを想ってくれているあの人なら、あたしの今の思いだって伝わっているはずだから。


あたしはそう信じている。


あの人は永遠にあたしの恋人ではないけれど、それでも大切な人。


それに変わりはないと分かった。


「よかったな…」


「仁のお陰よ」


「俺はなんもしてねえよ」


「ううん、あたしが仁の元に行きたいって仁は強く思わせてくれたから」


「…は、なに。もっかい襲われたいわけ?」


「そうじゃなくて」


「拒否権なし」


その強くて大きな腕にあたしの身体は拘束されて。


「…いつまでも俺の側で笑ってて」


そう言って躊躇いもなく唇を塞いだ。