「いつから、見に来ていたの?」
「…驚かねえんだな」
「視線がいつもあったのだもの。マークの部下が来ているのだと思っていたけど、今更ひとり増えたところで変わらないわ」
だってそうでしょう?
あのマーク、とんでもない縛りがあったのよ。
一体何台あの家に監視カメラがあったと思う?
多分10台はゆうに超えるわよ。
今更だって思ってしまうのは、仕方がないことだとおもう。
「…だいぶ前から。お前の居場所がそこだと知って以来、毎日来てた」
「逢いに来てくれればよかったのに」
「無駄な喧嘩は売らない主義なんだよ」
「瑞樹も佐々木さんもいる中で完全にアウェーだから、仕方ないとは思うけど」
「…の割に、イギリスでつけられてるの分かんなかったろ」
彼があたしが居なかったと知った理由が分かって、なんとあたしの部屋を毎日見に来ていたとは。
何故会わないのか理解に苦しむ。
だけど、毎日感じる視線の正体もわかって、少し安心した。
「それ、誰から聞いたの?」
もう予測出来ているのだけど。
「瑞樹さん」
「やっぱり」
「分かってただろ?」
ええ、もちろん。
「分かっていたけれど、確認したの。瑞樹が口を滑らせる男じゃないって信用していたのが2割」
瑞樹も当てにならないらしい。
あたし、信用できる人がどんどん減っていっている気がする。
「…ほぼ信用してねえじゃねえか」
「良い人だとは思っているけどね」
イギリスの時はママの側にいたから、そういう考えにも及ばなかっただけだ。
あたしはイギリスにいる時は関係ないって思っていたし。
だけど、そうではなかったらしい。



