ぽんぽんと頭を軽く撫ぜてから、そっと笑った。


「…一緒に行ってくれるってこと?」


「それ以外になにがある?」


「…質問に質問で返さないで」


むくれると、ふっと笑われた。


「…なによ」


「んーん、可愛いなあって思っただけ」


「なっ!」


顔がぼっと、火がついたように赤くなるのを感じた。


「あは、やっぱいいな、その顔」


「揶揄わないで!」


余計に赤くなるのがわかる。


もう、仁ったら。


あたしを遊んで面白がるのが趣味なんて、聞いていないのだけど!


「ついてってやるから、さっさと準備しな」


「上から目線なその発言、なんか…なんか、腹立たしい!」


そんなやりとりを生暖かい目でメンバーが見ていたことをあたしは知らない。





「…終わったと思うなよ」


その中でただ1人。



冷たい視線を向けていた人間がいたことを。





あたしも仁も、まだ知らない。