「…そうだ!瑞樹に携帯電話を返さないといけないから、Margaretまで行ってくるね」


「…離れないっていってさっそくこれかよ」


「その後ならずっと一緒にいられるってこと」


「ここに来て貰えばいいだろ」


「いやよ。借りたのはあたしだし。貸した相手に取りに来させるってありえないでしょう?それに、Margaretにはもう住まないから、荷造りも挨拶もしたいの」


「…お前、どこに住むんだ?」



「ここよ?綾もいいって言ってくれたし。え、駄目?」



仁が黙った。


「ママも元々はここに住めって言っていたの。安全だからって」


「…ママさんもお前も、ここがどれだけ危ない場所かわかってねえ」


「えー…じゃあ、仁の部屋!それなら安全でしょう?」


名案だ!と思って口を開いたのに。


…ん?



「なんでみんな固まっているの?」


「…和佳菜さん。無垢って怖いですね」


「無垢?え?なんで?あたし無垢なんかじゃないわよ。ふつーに色々やったことがあるわよ?例えば…」


「うわあ!もう言わないで!」


陽太が目を瞑った。


駄目だ、意味がわからない。


「多分、仁の部屋に住んだらお前一生外に出られねえよ?」


翔が笑いながらそういう。


…笑わなくてもいいのに。


「ええ、また軟禁されるの?それは嫌だなあ」


「…おめえら、俺をなんだと思ってる」



「「和佳菜がいないと生きていけない人」」



思わずぷっ、と吹き出した。