「どうしたんだろう」
夢は見事にスプーンに食いついたけれど、不思議そうにドアの方に目をやった。
あたしも、翔も、同じように目をドアに向ける。
「俺、見てくるよ。2人はここで待ってて」
あたし達の返事を聞く前に翔は出て行ってしまう。
「何かあったのかな?」
「来客がある気配はしないけどね」
誰かが大きな声で何か叫んでいる。
夢、もといJuliaもあたしもこういった大声には慣れているから恐怖は感じない。
だけど、どうしても身構えてしまうものだ。
敵だったらあたし達が出来ることはないに等しいので、人を呼ぶしかない。
そういった意味では翔が出ていってしまって少し不安ではある。
そうしていると、ガラッとドアが開いた。
「和佳菜!」
そこには焦った翔の姿が。
「どうした……」
「来て!」
そう言われて手をひかれる。
「一体どうしたの?」
「いいから!早く!」
そう言われて広間まで連れてこられる。
「仁!いるから!ここに」
そう大声で翔が叫んだ。
仁?
そう振り返ろうとすると。
後ろから強い力で抱きしめられた。



