約束…?
「…仁はずっと千夏のもの。それだけ忘れていなきゃ、和佳菜ちゃんをここにおいてもいいよ」
ママ。
あたし、ママに言えないことを聞いてしまったかもしれない。
あたしがここに戻ってきたのは、仁に会いたかったことが含まれているのに。
ねえ、どうしようね。
だけどあたし、少しも帰りたいと思わないの。
あたし、別に仁の気持ちがこちらに向いているなんて、微塵も思ってないのよ。
大切なことは、あたしが大切な人をどれだけ大切にできるかであって。
結果は求めるけれど。
仁の恋人になれるなんて、思ってもいないの。
なんとなく、これが宣戦布告であることも。
あたしは分かっているのだ。
この倉庫にいる女は、あたしと。
千夏さんだけなのだから。
仁の秘密は知りたい。
だけれど、それが彼女の誘導であることくらい、あたしだって知っている。
…ごめんね、誘いには乗らないの。
「お取り込み中ごめんなさいね。ここを掃除してもいいかしら」



