もう息ができない。
絶え絶えになったあたしはカクンと、膝から崩れ落ちそうになった。
それを仁は支えて。
「…だいじょぶ?」
まだまだ余裕そうな顔を、こちらに見せる。
「…はぁ…、はぁ……。も、無理…」
男の人ってすごい。
あたしにはない肺活量。
そんなにあたしキス上手くないの。
もう一年以上していないの。
ブランクあるの。
それなのに全て丸め込んで。
「…ほんと、ずるい人」
あたしに安心感さえくれる貴方はズルくて優しい人。
「褒め言葉として受け取っておくけど。ねえ、和佳菜」
「…な、に…」
「このままいただきたいんだけど」
そう言ってまたキスを。
額に埋め込むように。
そうしてあたしを押し倒して。
綺麗な顔があたしを覗き込む。
「…もう?」
「もう」
「早くない?」
「嫌なら、いくらでも待つけど。嫌じゃないなら」
そういう言い方弱いのよ。
貴方が知っているのか、どうなのか。
あたしは分からないけど。
そっと、耳打ちして、あたしに微笑む。
「ずっと側にいてくれるって、俺自身に教えてくれない?」