「…え…?」


彼女?

え、彼女?


「…仁、それって」



「…好きだ、って言ってんの」



照れて視線を横にずらして、けしてあたしの顔なんか見ない。



こんなに子供っぽい演出なのに。



どうしてあたしは泣いてしまうほど嬉しいの?






本当はね、ずっと分かっていたのよ。


だけどあたしには清算しなければならないことがあって。


マークとの関係を終わらせる勇気も、強さもなくて。


ずっとずっと逃げてきた。




マークみたいに100本の薔薇の花束はない。


ハイブランドの服も靴も、アクセサリーもない。


だけどあたしは。



多分、今。



世界の誰よりも幸せだ。