「というか、綾はなんでここに?」
「俺は買い出し。みんなの分の菓子買ってた」
「それはいいわね」
「話そらすんじゃねよ。入れよ。俺の言ってる意味だって、入ればわかる」
「わかったことを言って」
「なんでもいいから入れって」
無理やり綾があたしの背を押して、倉庫、彼らのアジトへと踏み入れさせた。
中は1年前とはさほど変わっておらず、強いて言うならソファが新品に交換されていることくらいだ。
だけど、そこにいる人は大きく変わっていて。
どこもかしこも、知らない人ばかり。
「人数、増えたの?」
「まあな、300が400になっただけだ」
一年でそんなに大きく人数が増えるだろうか?
疑問だけが募っていく。
言葉少ない綾から表情は読み取れないし。
何のための特技なんだろう。
あたしの特技は駆け引きなのに。
それができないとは、あたしの力も落ちたのかもしれない。
だけど変わらないものと言ったら、それは視線だろうか。
知らない人を見る目は最初にここに来た時と違わない。
ただ、何人かいた知った顔が、あたしを見るなり恐ろしく歪んだことも、明確に理解している。
受け入れられていない、その事実を。



