手続きをしている間もひっきりなしになり続ける。
その桁数が3桁になるのは、あっという間だった。
「まじでうざい。仕事にならない」
手続きを無事に終えた瑞樹はまた膨れて、とうとう電話に出ることにした。
「もしもし!?誰ですか?迷惑してるんですけど!」
誰かもわからない相手にそれはないだろうよ、瑞樹。
だが、電話の向こう側では。
『えっ。つ、つながりました!陽太さん!ええと!繋がったんです!でたんです!』
多分瑞樹の迷惑そうな言葉は何一つ聴こえていないのだろう。
歓喜で舞い上がっている声がする。
「あんた誰。要件あるならさっさとしてくれない?俺忙しいんだけど。あと5秒で用件言えなかったら切るから」
『ええ、ええと!その、』
「ごー、よん、さん…」
『…お、お電話替わりました、瑞樹さんいきなりすみません。陽太です、獅獣の』
それでようやく瑞樹の機嫌が直った。
「ねえ陽太、どういうつもり。知らねえ番号から大量の着信きてんだけど」
側から見たらいや怒っているでしょう、となるのだろうがこれは違う。
怒ってはいないのだ。
冷静に物事を図る為にそのような声で自分を抑えているのだ。
『綾さんからの指令で、下っぱに瑞樹さんの電話番号が渡されまして、ご理解願います』
「だから!なんでそうなったのかを言えって!」
『総長が…』
「は?仁がなに?」
『手がつけられないほどに暴れているんです…!』