長い1週間がようやく終わり、あたし達は飛行機で日本に帰ることになった。
が、あたし達の朝は忙しなかった。
終始文句たらたらの瑞樹を引っ張りながら、ホテルから、空港へと急ぐ。
「貴方が寝坊するからよ。置いていかれたらどうするつもりだったの」
「最初からあいつらが悪いんだろ」
「子供みたいな文句を言っているなら置いていくけど」
起こされないと起きないくせに、と続けて告げると、途端に大人しくなった。
仕事はこんなに出来て、頼りになるのにどうしてこうも子供っぽいところが抜けないのかしら。
あたしには疑問しか残らないが、いまはなにを言っても仕方がない。
やるしかない、と自分に言い聞かせて瑞樹を歩かせた。
なんとか飛行機に乗り込むと、あたし達が最後だったらしく、すぐに飛んだ。
朝の疲れがきたせいか、ぐっすり飛行機の中では眠ってしまった。
そう、この後のことをなにも考えずに。
着いたのは、19時過ぎ。
「うっわ、めっちゃ鳴ってる」
瑞樹のその声で、目が覚めたのだった。
「…どうしたの?」
「知らねえ番号からすげえ着信きてんだよ。…うわ、ほらまた来た」
あたしも覗き見ると、なんと。
「電話、65件…?どうしたの?」
「俺の方が聞きたいよ。みんな知らねえ番号だし。どうなってんだ」
飛行機の中で容赦なくなり続ける。
「出てみたら?」
「やだよ、怖いじゃん。まじ誰なの」
「それを知る為に出るんでしょ」
そう思ったところで。
「お客様…あの。そろそろ」
キャビンアテンダントさんに声をかけられてしまった。
「すみません!今出ます!」
あたし達は慌てて飛行機から降りた。