結論から言ってしまえば、1週間後にファーストクラスに乗る約束で物事は終わりを迎えた。
勿論、その分のホテルの予約は航空会社にとって貰って、ファーストクラス分の上乗せする代金とホテル代の半分を出してもらうことになったらしい。
「ほんとあり得ないんだけど」
「そうね、もうちょっとしっかりしてほしいわ」
あたしが考えるには、充分過ぎる見返りである気がするけれど。
瑞樹にとっては仕事に支障をきたすことであったから、同調はしておく。
いま彼の神経を逆撫させるつもりは全くない。
それから1週間。
あたし達はホテルで暮らした。
瑞樹は誰かと常に電話をしていたし。
あたしはこれを機に勉強をしようと思い立って勉強していたから、帰ってからの出来事は考えていなかった。
勿論、貴方に逢いたいと思うことに変わりはなかったけれど。
昼夜問わずに電話やメールをしている瑞樹の携帯電話を奪う気にはさらさらなれなかったし。
あたしは携帯電話を持っていなかったから、
(逃走防止のため、佐々木さんに預けられていた)どうすることも出来ずに、邪念を払う為に勉強に勤しんでいたわけなのだが。
「どうしてこうなっているの…」
日本から帰ってきて、まさかこの情景を見せられることになるとは。
本当に思っていなかった。