「…何故、そう言い切れるの?」


「あの人はほんと、器用じゃないから。和佳菜並にね」


「なにそれ」

「会った時に全部聞くんでしょ。その時に聞いたらいいよ。離れるなら好きなことを聞きなよ」


「そうするつもりよ」






この時のあたしは分かっていなかったの。


瑞樹の言葉の意味も、理由も。


何一つ想像していなかったの。


あんなことになるなら、あたしは。



きっと貴方に勇気を出して聞いていたのでしょうね。








マークがこの日、姿を現すことはなかった。