あたしひとり頭の整理がつかない中、彼らはどんどん話を進めていく。
「じゃ、お前らは広間の掃き掃除。マップなら、だいぶ前に使ったやつあるから」
「綾さーん!トイレ掃除用のふきんとかありますか?」
「は?それは、さっき眞宏(まひろ)達に買って来させたから…」
「空いてた幹部室の埃は払いましたよー。次何すればいいですか?」
みんな……切り替え早くないですか?
あたしだけなのね、分かってないの。
男に喰われる…?から、どう変化して、掃除することになったのか。
あたしは時々仁の考えていることがよめない。
この感じだとみんなも分かっていないような気はするが。
王様の命令は絶対。
疑問の声も残さず、反論もせずにみんなは黙々と手を動かしていた。
綾と仁が手分けして掃除を分担させていて、悠人や翔は仁や綾や自分達の部屋もこれを機に整理しようと片付けを始めている。
「そこまでしなくても…」
近くの男の子達したっぱにそう声をかけたけれど。
「だめです!和佳菜さんが住むんっすから。ちゃんと綺麗にしないと」
なんて、言って話を聞いてくれる気配はない。
たしかにお世辞にも綺麗とは言えない倉庫だけれど、汚いと言うほどでもない。
あたしが住むには十分なのだけど…。
そこまでしてくれる仁やみんなの優しさが、ただ素直に嬉しかった。