蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「そうだな…滅多に来ねえもんな。楽しめよ」


貴方は知っているのかもしれない。


終わりがすぐそばまで来ていることを。


そうで無ければこんなに痛いほど抱きしめてなんてこない。


知っていて、止められないことも分かっていて。


だから、貴方はこの抱擁で全てを表すのね。




「…部屋はあとで案内する。ひとまず、自己紹介しといてください」


そう仁はオドオドしていた吉野さんと、真っ暗な目であたしから目を離さなかった真城さんに声をかけた。


「吉野です。関西本部の本部長です。…あとなんか説明必要あります?」


ゴテゴテの関西弁に笑いながらも。


「いいえ、大丈夫よ。今日はよろしくお願いします」


そう返した。


「真城です。こう見えて26です。よろしく」


「…に、26?」


目に映るのは、中学生の少年…どんなに歳をとっているとしても高校生にしか見えない。



「真城は声変わりだけはしたんだけどな、顔変わんねえよな」


仁がそう眉を下げた。


「ま、お陰でなにかと騙しやすいんでいいんすけど」


無表情に近い真城さんは多分誰に対しても興味がない。


あたしの家のことを心配そうにしていた吉野さんとは対照的に、どうでもいいと顔に書いてあった。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ」


色のない会話はそれで終わった。