蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



今度はきちんと分かった。


「…和佳菜?大丈夫か!?まさか、林と会ったのがそんなに」


「照史は関係ないわ」


貴方が焦っている理由もきちんと分かっている。


「じゃあ、なんで泣いて…」



「嬉しいの」



「…え」


「こんなに涙が出る日なんてあったかしら?」


拭っても拭っても、全く止まる気配はなくて。


もう止めることは難しいかな、なんて。


そんなことを思ったら笑えてきてしまった。


あたしが今まで泣いてたのは、悲しかったり辛かったりしたからで。


苦しくて息ができない辛さで、堪らなかったけれどもね。


だけど、今、あたしの涙は全く止まっていないけれども、少しも虚しくなんてないの。


「ねえ、仁。不思議なの。鼻が詰まって息ができないのに幸せなの」


暖かくて、優しくて、愛しい。


ねえ、これが。


心が自由になったって、そういうことなのね。


「和佳菜…」


「ねえ、仁。誰も自らの手で守ってなんてくれなかったの。あたしを1人にするの」


あたしの大切な人はみんなあたしの側にいてくれなかった。


あたしには代わりをつけて、貴方は優雅にお茶会ですって?


年頃の若い女性もいて、あたしがどれだけ我慢していたか、なんてきっとマークは知らないでしょう。


「大丈夫、ひとりになんてしないから」


とんとん、と優しく背中を撫でてくれる。


たったこれだけで、異常なくらい心が満たされる。


仁ってすごい。



まるで魔法使いみたいだ。



「泊まってくれるか?」



その問いかけには頷く以外に選択肢なんてなかった。