連れて行く男の人が止まった。


同時に葏忢さんも止まる。


「なんや……」


「決して、忘れないで」


「…」


「貴方がしたことを。一生、絶対に」


あたしが覚えていろと言ったのは、あたしへの報復のこととか、そんな甘いものではなくて。


こうやって苦しんだ人間があたしの他にもたくさんいることを決して忘れてはいけないの。


「償って。貴方は貴方の世界のやり方で」


この人はあたしが償ってほしいことをわかっているはずなのだ。


あたしもあたしのやり方で償うから。



「…ひとつ、イイコト教えてやるよ」


あたしの目を見た葏忢さんが薄く笑った。


「なに」


その目が恐ろしく冷酷で。


…どうして胸騒ぎがするの?


「おじょーちゃん、無駄に仲間を過信してるみたいやけど、やめた方が正解やよ?」


「それは、貴方が裏切られたから?残念ながらそんなことは…」




「違げえよ」



遮って笑った。





「てめえらの中に“裏切りもん”がおるからやよ」






やっと終わったと思ったのに。



青山 葏忢は最後にあたしたちを嘲笑うような爆弾を落としていった。