「さて、わたくしが探しているある人についてですが」
そう切り出した佐々木さんは。
「覚えていらっしゃいませんか?」
と何故かあたしに話を振った。
「さっきもそう聞いたけれども、さすがにヒントがないと分からないわ」
「そうでしたね。…わたくしが庭師をしていたことはご存知でしたよね?」
「ええ」
「スティーブン家は大きな庭をいくつか所有しておりますがそこの1番大きな庭で働いておりました。そこには白いベールで囲われたエリアがありまして」
「もしかしてsugarのこと?」
1番大きな庭に、だったかは分からないが、白いベールで囲われたエリアはマークが作ってくれた。
余計な人に顔を見せないように、と。
嫉妬深いマークがそう言って、庭が好きなあたしのために作ってくれたエリアだった。
それをsugarとマークが呼ぶから、あたしもそう呼んでいた記憶がある。
あの頃マークの独占欲は酷くて、あたしはマーク以外の人と会うことはほぼ無かった。
「ああ、マーク様や貴女はそう呼んでいましたね」
懐かしむような笑みに、あの頃の思い出は決して佐々木さんにとって悪いものではなかったのだろうと、思わせる。



