「翔、陽太。え、…どうしてみんなが」
「そりゃ副総長一人で行かせるわけにはいかないでしょ。綾だけが俺らの姫にいいとこみせるのずるいしね」
さも当然かのように翔が笑った。
「あたし…もう姫なんかじゃ」
「誰が何を言っても、それを宣言したのが総長でも、俺らは貴女が好きです」
遮るように、笑った。
「陽太…」
「俺らが嫌いになれない以上、貴女は俺らの姫なんです。だから、総長のあの宣言は認めてません。貴女はずっと俺らの姫です」
「なにそれ…っ」
本当、変な理論。
でも、それが本当に居心地良かった。
大好きなんだ。
あの場所が、今も昔も、変わらずに。
「頼ってくださいよ。話は大体綾さんから聞いてるんです。千夏さんのためとか、貴女はどれだけ優しすぎるんですか」
呆れているのか、はあと、ため息をつく陽太に首を振った。
「……千夏ちゃんのためじゃない、これはあたしのため。あの子が今も追い回される運命を生きているのは間違えなくマークのせいなの。あたしはせめてもの償いをしたいだけ」
勝手だっていうのは誰よりも知っているんだ。
それでも償わずにはいられない。
せめて、あの子を自由にしてあげたい。
あたしが願うのはそれだけなの。
「和佳菜さんはやっぱり優しいひとだ」
直人の声に思わずかおをあげた。
「え?」
周りのみんなもうんうんと頷いている。
「…マークって人のことも、貴女のことも。俺らはまだそんなに知らないです」
陽太は朗らかに笑った。
「でも、マークって人は貴女の元彼なんでしょ?関係ないでしょう?だから、和佳菜さんが背負う必要なんて本当はどこにもないんですよ。だけどそこに申し訳ないって思うなら、それなら」
その笑顔はあたしには優しすぎる。
「俺らにも力貸させてください」
「そんなの…だってこれはあたしの」
問題だし…。
「要は俺らだって一緒に戦いたいの。分かれ!クソ馬鹿野郎…」
翔…。
口悪くなったね。
「お前一人に背負わせたくないってなんでわかんねーの?佐々木さんとかだけじゃなくて、俺らの姫なんだから」
そんな言葉遣いの翔を初めて見て、やはりすこしとまどったけれども。
ちゃんと思いも伝わってきた。
「ごめん、ごめんね…」
あたし、何にも知らなかった。
挨拶もせず、逃げるように倉庫を出てからみんながどんな風に思ってくれていたのか。
想像することも行動することも逃げていたのに。
あたしは本当に優しい仲間を持ったんだね。
「お願いがあるの…」
泣くあたしの頭にそっと手を置いた綾が。
「なんでも聞こうじゃねえか」
と笑ったのを見て、また涙が溢れる。
「このショッピングモール周辺にいる青山の人間を探し出して欲しいの」



