「綾…!」
「仁じゃなくて悪かったな」
「何故そんなことを言うの?…ありがとう、来てくれて」
「佐々木さんに来いって言われた時はまじびっくりしたよ。俺、仁じゃねえし」
「仁には他のことを頼んでいますから…っ」
小さく笑う佐々木さんは、途中、顔を大きく歪めた。
「綾。佐々木さんをお願い」
「そりゃいいけど。おい、和佳菜。お前、どこ行くつもりだ」
「……とにかくよろしく」
とにかく背を向けて走り出す。
シャンデリアが落ちた影響で、人が集まり始めていた。
その人混みに紛れて青山の人間がこの場から立ち去ることなど容易だ。
だけど絶対にいる。
まだ遠くには行っていないはずだ。
「和佳菜、俺だけじゃねえんだよ!」
思わず立ち止まる。
そして振り返る。
何を言っているんだ、この人。
「どういう意味?」
「だから!お前を助けたいって思ってんのは俺だけじゃないってことだよ!いい加減知れ!馬鹿!」
ずんずん歩いてくる綾。
その後ろには。
「…嘘っ……」
獅獣のみんなの姿があった。



