「話、聞かせてもらおうじゃねえか」
警戒しているその声は、今にもあたしを捕まえそうだ。
「なに、説明すれば良いの?」
「このカウントダウンはなんだ」
「見ての通りよ。貴方がた青山組の数々の悪事がインターネットに公開されるまでの時間よ」
椎田の顔が真っ赤になるのが想像できた。
「てめえ!ふざけよるんか?」
「ふざけてなんかいないわよ。見縊ってもいない。ただ、裏社会には裏社会のやり方があるでしょう?それを丁寧に表しただけ」
ふふっと笑ってあげる。
本当はここまですることはないのかもしれないわね。
これは色んな人への復讐。
千夏ちゃんの仇打ちだけではない。
瑞樹が用意してくれた資料には。
青山も、“ あの火災 ”で、貴方達の役目を果たしていた、と記されていた。
だから、
「あたしが生きている今はね、償いなの」
「償い?何言ってんだ?」
「貴方たちにも償って貰わなければいけないわ」
「俺らはなんもしてねえよ」
「それは知らないだけよ」
一緒に償いましょう?
あたしと、共に。
「セキュリティー班はどうなってる?」
「今は1人しかおらんくて…」
それを狙っていたのだから、当然だろう。
「復旧の目処は?」
「今、リーダーのマサキが向かってるんすけど、遠くにいるみたいで、正直目処は…」
「今いるみんなで手伝え。パソコンある程度やれる奴はみんな入れ。玲はどこにいる?」
「既にセキュリティー室に」
「じゃあ、俺らは」
ギロリと、鋭い視線がこちらを向く。
「あいつらの始末だな」