蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



千夏さんの隣から離れた彼は、いつのまにかそっと静かにあたしの隣に立っている。


「…仁、いいの?千夏ちゃんは」


「あいつのことは翔に任せた」


「だけど、あの子は……」


「俺はお前が帰って来たことが純粋に嬉しい。それをあいつの前で喜んでいいのか?」

「それは…」


それはきっと良くない。


彼女が嫉妬して、仁を苦しめることになりそうだから。


「俺はあいつの前では喜びにくい。…分かってくれるよな?」



「……ええ」


そして、改めて周囲を見渡すと仁は叫んだ。



「なあ、お前ら。こいつが戻ってくることに異論があるやつはいるか?」




「いるけど」