______________________人を誰一人傷つけずに、この組の運命を狂わせる方法がある。
いきなり電気が消えた。
「なんだ!これは!」
「どうなってんだ!」
慌てふためく男たちに笑いをこらえるので必死だった。
「椎田さん!うちのセキュリティーが全部停止しました!」
誰かが慌てて走ってくる足音が近づく。
目さえ合わない暗闇の中であるはずなのに、睨まれた気がした。
「…まさか、てめえ」
「さあ?人をモノ扱いした、神様からの罰なのでは?」
神様なんているのだろうか?
考えたこともない。
あたしはなにかを信仰しているわけではないから。
だけれど、これは。
あたしが瑞樹に頼まなかったとしても、きっと起こっただろう。
「あの、それと…」
これ、…と椎田に手渡した物はスマートフォンだった。
その画面を見た椎田は。
「…目的はなんだ?」
これまで聞いたことのないドスの効いた声を出して威嚇した。
彼が差し出したものに映っていた物とは。
「さすがね、仕事が上手」
タイマーがチクタクと音を立てて数を減らしていく。
その下には。
“ 青山組の情報が世界に公開されるまで ”
そう、記されていた。