「正直、千夏ちゃんの親戚の方が千夏ちゃんのことどう思ってるかなんてわかんない。だから、そこで暮らせるか、どうかは保証できない。それは初めに謝っておく」
もちろん、青山を潰す為の手は打ってあるし、瑞樹にも頼んでいるから問題はないとは思う。
ただ、それ以降のことはあたしもまだわからない。
彼女の戸籍上で親となった人達が彼女のことをどう思っているか、確認はまだ出来ていない。
もしかしたら、来るな、と言われるかもしれない。
それでも、と息を吸った。
「会いに行っておいで」
「……」
「それほど望んでいたんでしょう。貴女のことだから、突き止めているんでしょう、居場所を」
何も言わなかったけど、目を逸らした彼女の行動が、事実を雄弁に語っていた。
「会いに行ってみたら、何かわかるかも知れない」
「でも、それで拒否されたら」
「その時は」
ふわりと、笑って見せる。
心配ないよ、と言いたくて。
だけど言葉にするには、少し気恥ずかしくて。
「あたしのところにおいで」
最早これは独断だけど、Margaretに住んでもらうつもりだった。
闇組織と繋がりは有り続けるけど、彼女が抜けたいのは、あくまでも青山であることに違いはないから。
瑞樹も千夏ちゃんのことを追っているわけだし、拒否はしないだろう。
佐々木さんは…分からないけれども、なんだかんだ折れてくれるとは思っている。
「和佳菜ちゃんどこに住んでるの?」
「うーん…ちょっと言えないんだけど、無理だったら、教えるね」
「じゃ、連絡先教えてよ!」
そう思ってふと我に帰った。
「…ごめんなさい、あたし携帯電話は持ち歩かないの」
瑞樹に出会った時に、あの部屋に住まわせてもらう時に、携帯電話は没収されたのだ。
「この時代に?」
「個人情報は持ち歩く方がリスキーだもの。でもそうねえ。これじゃあ、連絡が取れないものね」
少し考えてから。
「携帯電話貸してくれない?」
と千夏ちゃんに頼んだ。



