蒼の花と荒れる野獣Ⅱ


「…なに、言ってるの?」


「だから、抜けたい?青山組を」


「そんな簡単に抜けられる場所じゃないことくらいわかるでしょ!」


彼女の絶叫は、あたしを責めているみたいだった。


そのつんざくような痛みは、あたしも苦しい。


「願望くらい言ってもいいんじゃない?」


「叶わないことは願わない主義なの。そんなことあり得ない」


「じゃあ、叶えてあげる」


これ以上ないくらい大きく彼女が目を見開いた。


「あんたに何ができるの…?組に関わりないでしょ」


「なくてもできることはある。貴女を組から離すことなど造作もないことよ」


「うそだ…」


「本当に」


「じゃあ、願ってもいいの?」


なにを、とは聞かなかった。


「むしろ願って欲しいわ。沢山我慢してきたのでしょう?」


分かっていたから。



彼女の願いが何なのか。




「…戸籍上で親の人たちと暮らしたい」






もちろん、全て分かっていたわけじゃない。


だけど、彼女がこの場にいることを望んでいないことは明確だったから。


今までの発言を考えたら、想像するには十分な材料だった。