「…なに、言ってるの?」
「だから、抜けたい?青山組を」
「そんな簡単に抜けられる場所じゃないことくらいわかるでしょ!」
彼女の絶叫は、あたしを責めているみたいだった。
そのつんざくような痛みは、あたしも苦しい。
「願望くらい言ってもいいんじゃない?」
「叶わないことは願わない主義なの。そんなことあり得ない」
「じゃあ、叶えてあげる」
これ以上ないくらい大きく彼女が目を見開いた。
「あんたに何ができるの…?組に関わりないでしょ」
「なくてもできることはある。貴女を組から離すことなど造作もないことよ」
「うそだ…」
「本当に」
「じゃあ、願ってもいいの?」
なにを、とは聞かなかった。
「むしろ願って欲しいわ。沢山我慢してきたのでしょう?」
分かっていたから。
彼女の願いが何なのか。
「…戸籍上で親の人たちと暮らしたい」
もちろん、全て分かっていたわけじゃない。
だけど、彼女がこの場にいることを望んでいないことは明確だったから。
今までの発言を考えたら、想像するには十分な材料だった。



