蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「白い仮面をした、悪魔?」


なんだそれは。


悪魔といえば、黒くて触角が生えた、物体。


人物…?とは少し違う気もする。


「それで?」


「あ、でも、直ぐに中止しろって連絡がその場で来たの。だから知ってるのはあたしくらい」


だから、千夏ちゃんなのか。


その出来事が関係している場合、電話の相手は、余程焦っていたのだろう。


青山組の頭、要は1番偉い人間に助けを乞うくらいなのだから。


青山組は西を陣取っている暴力団だ。


同等、もしくは立場が上でないと、対等に話すこともままならないはずだ。


「電話の相手は」


「分からない。ただ凄く頭が気を遣ってたから、年上だと思う」


日本だと銀深会が対等だけど、立場が上の人間なんていない。


青山を操る影で、偉い人物がいるか。



もしくは。




ぶるぶる、と頭を大きく横に振った。


そんなわけがない。


あたしの考えすぎだ。


ちょっと一緒にいる時間が長すぎたんだ。


だから、もしかしたらマークが、なんて考える訳で。


外国にだって大きな闇組織は山ほどあるし。


考えすぎだ。


だから。




だいじょうぶ。




「和佳菜ちゃん、…大丈夫?」


「あ、平気平気。なんでもないの」


こんなところで怖がってはいけない。


彼女はあたしと同じように人の気持ちに敏感だ。


ただでさえ弱っている彼女に、不安要素を話すわけにはいかなかった。


とはいえ、最低限ことは聞かなければいけない。


「じゃあねえ、改めて。千夏ちゃんはどうなりたいの?」


「そんなこと、言える状況じゃないよ」


「じゃあ、そういう状況になったら?」


「そんなの、…ならないよ」



「…じゃあ、単刀直入に聞くね。青山を抜けたい?」