「…誰がそんなこたあ言ったんだよ」
黙って聞いていた綾が、後ろから声を出した。
「誰がお前に出てけ、って言ったんだよ」
「そんなの、空気が物語って」
「いねえよ。馬鹿か、ほんと。あいつらの目見てろよ」
綾はそう言ってあたしの手をいきなり掴むと、一階へ引っ張っていった。
そうして、真っ直ぐある男の前に立たせた。
「この目見たって、お前はこいつらがお前が帰ってくることを望んでいたと思わねえのか?」
その人、とは。
「…陽太」
「お久しぶりですね。和佳菜さん」
優しい笑顔で陽太が笑う。
あたしの頬に涙が伝った瞬間だった。



