仁主導で、ゆっくりと壁を伝って、地面へと降りていく。


本当、運動神経良いんだな。


喧嘩できる人が、そうなんでも出来るわけではないだろう。


「和佳菜、そこ滑るから気を付けろよ」


こんなの、どうやって身につけたんだか。


「……」


「和佳菜?」


「へっ?あっ…」


ぼんやりしていたあたしは、仁の話を聞いていなかったようで。


足元をすくわれたあたしは。


「わっ!!」



「和佳菜!」


前に大きく倒れていった。


目の前には勿論、仁がいて。



「…った」



ドタンと音を立てて、仁の上に覆い被さっていた。